被災各地で弔慰金をお渡ししています

西日本豪雨の災害により亡くなられた方の数は224人にのぼり(7月24日時点)、平成最悪の風水害となりました。日本財団では大切なご家族を失われたご遺族の方に弔慰金をお渡しすることで、被災地を支援させていただいています。
ご遺族の方に「生活の支え」となる支援を
日本財団では今回の災害によりご家族を失われたご遺族の方に、今後の生活の支えとなるための支援金を弔慰金という形でお渡ししています。
これまでに岡山県(倉敷市)、広島県(広島市、東広島市、坂町、呉市、竹原市、三原市、尾道市)、愛媛県(今治市、松山市、大洲市、西予市、宇和島市)の自治体を役員、職員がご訪問させていただき、弔慰金についてご説明を差し上げています。
今後は上記以外の被災自治体についても、弔慰金交付のご案内を順次させていただく予定です。ご家族を失われたご遺族の方に、生活の支えとなる現金を一刻も早くお渡しできるよう、支援活動を続けていきます。(弔慰金の申請手続きについては、日本財団のウェブサイトをご参照ください。)
日本財団が弔慰金をお渡しする理由
弔慰金の交付は日本財団をはじめ被災地の自治体や日本赤十字社など、複数の団体が行っています。その中で、日本財団が弔慰金の交付を行う理由として、少しでも早くご遺族の方に現金を手渡したいという想いがあります。
弔慰金交付の背景には、日本財団の会長である笹川陽平が東京大空襲の際、焼け野原を母と二人でさまよいながら、現金も食べ物もなく、明日の生活がただただ心細かったという自らの体験があります。
2011年に起きた東日本大震災の際にも、できるだけ早くご遺族の方に現金を手渡すために弔慰金を交付させていただきました。こうした支援に対し、被災者の方々からは感謝の声が多く寄せられました。

一般的に弔慰金の交付には様々な手続きが必要になるため、ご遺族の方が現金を手にするまで時間がかかることが多いのですが、日本財団では市町村の職員の立会いのもと、身元の確認ができればその場ですぐに現金を支給させていただいています。
「災害により自宅などを失った被災者の方に対し、できるだけ早く弔慰金を交付することで、目の前の生活を少しでも補助することには意味があると思います。日本財団のような団体から気配りをしてもらえるということも、被災された方にとってはありがたいことだと思います」
尾道市の副市長である澤田昌文さんは、弔慰金を交付する意義について話してくれました。

亡くなられた方々の声にも耳を傾ける
被災各地で支援活動が続く7月20日、日本財団の笹川順平は尾道市職員のご同行のもと、ご家族を失われたご遺族の方に弔慰金をお渡しして回りました。
尾道市は今回の豪雨により市内全域が被害を受け、家屋などの被害は560件にのぼり、内訳は土砂崩れ266件、床上浸水102件、床下浸水192件となっています(7月24日時点)。

また、家屋の被害に加え死者・行方不明者も出ています。日本財団では尾道市のご協力のもと、2名の被災者のご遺族の方をご訪問させていただき、弔慰金をお渡ししました。
初めにご訪問させていただいたご遺族の方は、ご自宅に土砂がなだれ込み、ご家族の方を失われました。
「お体は大丈夫ですか」
「少しでも生活の足しにしていただければと思います」
慰労の言葉とともに、笹川からご遺族の方に弔慰金が手渡されました。

次にご訪問させていただいたご遺族の方は、濁流に巻き込まれ、ご家族の方を失いました。

「今回の災害で生き残られた被災者の方々の声を聞くことは当然です。一方亡くなられた方について検証を進め、今後の防災体制に反映していかなければなりません」
尾道市・副市長の澤田さんはそう語ってくれました。
日本財団では西日本豪雨の災害に対する重要な支援の一つとして、大切なご家族を失われたご遺族の方々に、今後も弔慰金の交付を続けていきます。
取材・文:井上 徹太郎(株式会社サイエンスクラフト)
写真:和田 剛