2021年8月に開所。窓口を広げ、支援を必要とする人と繋がりやすい体制をつくる秋田拠点

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カポエラをする子どもたち。市議会議員でもあるジムトレーナーが、ボランティアとして月2回体を動かすレッスンをしています

2021年7月から、新たに57拠点が、子ども第三の居場所に加わりました。その中から秋田県初の拠点を運営する「特定非営利活動法人秋田たすけあいネットあゆむ」をピックアップし、運営団体に名乗りを挙げた動機やビジョンをご紹介します。

負の連鎖を断ち切るための11の事業

「支援を必要としている人と早く繋がるため、入り口をたくさん作ってきました」と語るのは、理事長の保坂ひろみさん。2016年に団体を立ち上げてから、食糧支援・高齢者の生活支援など、様々な福祉関連事業を立ち上げました。

根っこにあるのは、「負の連鎖を断ち切り、心豊かに未来を描ける秋田をつくりたい」という思いです。

「私たちの組織の誰かと繋がったら、相談、食糧支援、学習支援など生活に必要なサポートをトータルで受けられるよう体制を整えています。対象は0歳から100歳まで。困窮の現状を少しでも底上げできないかと活動しています」(保坂さん)

秋田たすけあいネットあゆむの前身は、「フードバンクあきた」。食糧支援をする中で様々な困りごとを聞くようになり、より広範囲での支援が必要であることを保坂さんが痛感したことが、秋田たすけあいネットあゆむの立ち上げにつながりました。

食糧支援から始まり、制服のリユース・無償の学習室・フリースクール・引きこもり支援など現在の事業は11まで広がりました。

「困っている方と繋がれるよう、まずは窓口を増やすことに注力してきました。ひとり親の家庭がお子さんの制服を買いに来た時に、食べることが大変と聞けば食糧支援と学習支援に繋げます。繋がり方も、直接拠点に来られる方、電話、イベントと複数の方法をつくってきます」(保坂さん)

「子ども第三の居場所」に仲間入り

こうした活動経験を踏まえて、今夏から子ども第三の居場所に仲間入り。既存事業をいかしながら、拠点としての基準を満たすよう仕組みを整えて子どもの生活をサポートしていきます。

中心になるのは、学習支援。2016年の立ち上げから、小学生から高校生までのべ6,000人の子どもに無料で利用できる学習室を開いてきました。
毎週火曜から土曜の10時から18時まで開き、学校の宿題・試験や受験対策など、一人ひとりの希望に合わせた指導をします。

「学習支援は家庭環境の格差を解消するための第一ステップです。大学を卒業して仕事に就くことができれば、生まれ持った環境に左右されない人生を歩むことができます」(保坂さん)

学習にかかる保護者の負担を減らしながら、学習支援を実施。約10名のボランティアが勉強を教えます。

実際、今まで無償の学習支援を利用していた子どもにはどんな変化があったのでしょうか?

「通う子ども達も、無償で利用でき、勉強を教える大人がボランティアであることを知っています。だからか、強い自主性を持っています。私たちの背中を見て、『将来は学校の先生になりたい』『人の役に立つ仕事に就くために勉強を頑張りたい』と語る子どももいます」(保坂さん)

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県立博物館の催しに参加し、鬼のお面を作った子どもたち

学習支援を起点に子どもの生活を全面的にサポートする

また、食糧支援や親子食堂によって、必要な栄養を子どもが摂取することができるサポートをしていきます。

「秋田県の食料自給率は全国2位。しかし、死因別・栄養失調死は全国1位です。助けを求めづらい県民性なのかなと思うので、何かしらで私たちと繋がれば気軽に相談できるような関係性を築いていくことを大切にしています」

さらに、平日昼間はフリースクールを開校するなど、子ども第三の居場所を必要としている子どもにきちんと届くよう、時間帯や内容を見直しています。

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調理実習の様子。ハロウィンにはかぼちゃのスープを作るなど、季節の行事に合わせて行います

たとえ故郷を離れても思い出してもらえる居場所に

「子ども第三の居場所として、家でも学校でもない居心地の良い場所を目指します。ここに来たら安心する、そんな気が休まる存在になりたいですね」(保坂さん)

秋田たすけあいネットあゆむは、2021年8月から子ども第三の居場所として新たなスタートを切ります。

「日本財団の助成をいただくことで、新たに正社員を一名、雇用することができました。今まで繋がることができなかった子どもとの出会いもあるでしょうから、楽しみですね。これから3年の間に、事業の基盤を整えていきたいです」(保坂さん)

「高校卒業後、秋田を離れる子どもも多いです。でも、ちょっと精神的にまいった時、故郷を思い出し、学生だった頃や秋田での暮しや、自分を支えてくれた人達を思い出し、秋田たすけあいネットあゆむの人たちはどうしているかなと思ってもらえる存在になれたら嬉しいですね」(保坂さん)

秋田たすけあいネットあゆむが、これからどのような拠点に育っていくのかとても楽しみですね。見守り、応援いただけると嬉しいです。

取材:北川由依

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