多発化・激甚化する各地の災害に対する支援活動
増える自然災害とボランティア
日本は、地形・地質・気象等の国土条件により自然災害による甚大な被害に見舞われていると同時に、近年はさらに豪雨災害が激甚化・頻発化し、各地で大きな被害が発生している(『国土交通白書2021』より)。
こうした中、被災地における災害ボランティアの必要性を人々に認識させたのは2つの巨大地震であった。1995年の阪神・淡路大震災は「ボランティア元年」と呼ばれ災害ボランティアが本格化し、2011年の東日本大震災でボランティアの規模はさらに大きくなり、多くの災害ボランティアが全国から駆け付け、被災家屋のがれき除去や清掃、側溝整備、土砂の土嚢詰め、田畑・河川土手のがれき除去などに従事した。


多様化する被災地支援
その後も、大規模な自然災害は相次ぎ、災害ボランティアの関わり方も多様化しており、例えば、被災地の避難所において被災者の健康や心をケアしたり、地域コミュニティ再生の手助けをしたりと活動の範囲は広がっている。
当財団もこうした状況を踏まえ、災害ボランティアへの支援対象も様々な活動に広げて行うようになってきた。例えば被災した家の内外を埋め尽くす倒木や土砂等を重機で除去する専門ボランティアや、避難所で被災者のケアやコミュニティを支援するボランティアなどにも支援を行っている。
2016年4月に発生した熊本地震では、県庁前のビルの1フロアを賃借し、1年2カ月にわたり当財団自ら熊本本部を開設。被災地で活動するNPO団体が相互に情報共有を行うために必要な場の提供をはじめ、被災者への住宅損壊見舞金(※1)給付申請手続きへの対応窓口業務などを行った。
また、熊本市民・県民の誇りであり象徴である熊本城の再建支援策(6年間で30億円)をいち早く打ち出し、熊本城復旧のため全国からの寄付の呼びかけにつなげるほか、被災地域の復旧・復興を促進するため、地域住民が集える場所として「みんなの家」を21カ所に建築し、地域コミュニティ活性化のための拠点づくりを推進している。
そのほか2019年に全国各地で多発した豪雨災害では、浸水した建物の内装断熱材の除去や床下乾燥などの適切な対応ができず、カビの発生や雨漏りなどが起きていた。こうした点を反省し、被災した住民たちが自らの手で被災家屋の修繕を正しく行えるよう、そのためのノウハウを有するNPOが、被災住民を対象とした技術研修の実施と、修繕に必要な機器の貸し出しを行う「DIYセンター」の設置・運営を行った。
- ※1. 「住宅損壊見舞金」は大規模半壊以上の認定を受けた住宅世帯に対し、各戸当たり20万円を日本財団が独自に給付したもの。(2万3,818世帯 計47億6,360万円))


災害ボランティアの持つ力
年増加している自然災害発生時においては、大規模な災害が発生すると、沢山のボランティアが被災地に駆けつけることが定着してきている。同時に、個人やNPO団体、企業などから専門技能を有する人たちがボランティアとして駆けつけ、様々な支援活動を展開するようになってきており、その活動は被災地の復旧、復興に欠かせない大きな力となっている。


(外海 陽子/災害対策事業部)
本事業・この社会課題への今後の期待
自然災害が増えている中、被災地の復旧・復興においては多くの人や団体等の力が必要となってきている一方、発災後、少しでも被災地の力になりたい人たちがとても多くなってきている。その思いや力をアクションにつなげていくことを今後も当財団は目指し事業を実施していく。
