第38回WHO笹川健康賞授賞式

於:スイス・ジュネーブ

パイサン・ルアンビブーンサック博士、第38回笹川健康賞を受賞されたことに心より祝意を申し上げます。また、テドロス・WHO事務局長をはじめとするWHO職員の尽力により、3年振りに対面で受賞式に参加できますことを嬉しく思います。

プライマリー・ヘルス・ケアの推進は人類の健康増進に欠かすことは出来ないという考えのもと、父である笹川良一は1984年に本賞を設置致しました。以来本賞は、プライマリー・ヘルス・ケアの推進を通じて、人々の健康の増進、その公正の確立に向けて革新的な取り組みをしている個人・団体を顕彰して参りました。

本年笹川健康賞を受賞されるルアンビブーンサック博士は、特に農村部で深刻であった糖尿病患者の失明対策に奔走されています。

いま世界では、1億人が白内障手術へのアクセスがないために盲目になっています。

いま世界では、7億人が眼鏡を手に入れることが出来ないため盲目になっています。

いま世界では、10億人が盲目にならなくてよい理由により盲目になっています。

博士が確立した失明検出の採点診断方法並びに医療従事者のトレーニングはタイにおいて数多くの方を失明から救い、今ではタイ国保健省政府が糖尿病による失明の可能性がある患者に無料のスクリーニング検査を実施するようになるなど、同国の健康増進に多大なる影響を与えました。プライマリー・ヘルス・ケアの実践を通じて、国の保健制度の改善まで実現した博士の活動に敬意を表すると同時に、本賞を贈呈できることを光栄に思います。 私自身もWHOハンセン病制圧大使としてハンセン病を無くす活動のため長年にわたり世界122ヶ国の現場を訪問し、コロナ禍においても保健大臣をはじめとする各国の皆さまにDon’t Forget Leprosyの精神のもと協力をいただいております。「全ての人に健康を」という目標に向けて共に活動する者として、改めて受賞をお祝いすると同時に、博士の更なる活躍を期待しております。ありがとうございました。