国連海洋会議サイドイベント:アフリカにおけるブルー・エコノミーの為の持続可能な漁業と水産養殖に関するハイレベル政策対話

於:リスボン(海野光行・常務理事代読)

ポルトガル政府とケニア政府の共催により第2回国連海洋会議が開催されたことについて、特にケニアッタ・ケニア大統領の指導力に敬意を表します。

日本財団とアフリカの関係は40年近く前に遡ります。当時エチオピアで数百万人が餓死したと言われる飢饉が発生しました。この未曾有の事態に対応すべく、ジミー・カーター・元アメリカ合衆国大統領、緑の革命を指導しノーベル平和賞を受賞したノーマン・ボーローグ博士、そして私の父であり日本財団会長であった笹川良一はアフリカへの農業支援を決断しました。以来我々はアフリカの農業の担い手である小規模農家が自立し、彼らの生活が向上するよう農業指導をして参りました。

いま世界は不安定な情勢により、穀物供給量が減少し、食料価格の高騰に直面しています。国連は、途上国を中心に16億人が食料危機にさらされる可能性があるとも警鐘を鳴らしています。私は、今こそアフリカが、これまでの経験を活かし、人類が直面する食料危機に対して大きな役割を果たす機会になると考えています。これは農業分野にとどまらず、アフリカ各国が管理する広範な海洋の水産資源の保全や持続可能な利用といった分野も含まれます。

これまでアフリカ各国の周辺海域は、ともすると他国による大規模漁業の恰好の場所となってきました。ここにきてアフリカ諸国がこの問題に気付き、そして一致団結して解決へ取り組み始めたことは、ブルー・エコノミー実現への第一歩として大変評価できるものと思います。私は、ブルー・エコノミーの実践を通じて、現在世界が直面する食料危機にアフリカが大きな貢献ができると確信しています。そして、その為に不可欠なアフリカにおける海洋分野の研究や人材養成について、日本財団は引き続き笹川平和財団海洋政策研究所や世界海事大学などと連携して支援して参ります。 我々のアフリカでの40年近くにわたる活動は、決して順風満帆ではなく、幾多の困難の連続でした。しかし我々は不屈の忍耐を示し、ネバー・ギブアップの精神でアフリカの皆さんと共に歩んできました。

アフリカにおけるブルー・エコノミーを推進し、持続可能な海洋を千年先の未来に引き継ぐために、共にネバー・ギブアップの精神で努力して参りましょう。ありがとうございました。