第3回世界海上保安機関長官級会合開会式
國場幸之助・国土交通副大臣、石井昌平・海上保安庁長官、世界各国からお集まりの海上保安機関長官の皆さん。改めて、第3回目の世界海上保安機関長官級会合にご参加いただき感謝申し上げます。
昨晩もレセプションの際に申し上げましたが、皆さんご承知の通り、海は「人類共有の財産」であり、また、海の存在なくして人類の生存そして繁栄はあり得ません。しかし、「人類共有の財産」である海に対し、我々人類は近代化し始めてたった100~150年という極めて短い期間で、海洋生物の乱獲、海洋資源の無秩序な利用、海洋汚染など大きな負荷を与えてきました。
私たち日本財団は、40年近く前に今日のような状況を想定し、この危機に対処すべく、長期的な視点に立ち、「人類共有の財産」である海を守る事業に重点的に取り組んできました。こうした取り組みは、海の専門人材育成、マラッカ・シンガポール海峡の安全航行支援、日本国の海洋基本法制定への尽力、など多岐にわたります。各国の海上保安機関の連携に向けた取組みもその1つです。2004年から10年にわたり開催したアジア海上保安機関長官級会合は海賊や災害に対する地域の連携に大きな役割を果たしました。そして、2017年からはこの枠組みを「世界」に拡大し、今回で3回目を迎えます。
折しもグローバル化が急速に進んでいる昨今、海の直面する課題もまた多様化・複雑化しています。こうした一国・一地域で対応することが困難な課題に対して、私たちは結束し共に協力して立ち向かう必要があります。私は、皆さんのような海上保安機関同士の連携なしには、海洋秩序の維持は困難であると考えています。つまり、海の安全と平和は皆さんの双肩にかかっていると言えるのではないでしょうか。
皆さんのご協力のお蔭で、長官級会合への参加国数も約3倍に増え、まさに世界的なネットワークと協力関係を構築できる場に成長したものと思います。私は「現場には問題点と答えがある」という信念のもと活動しておりますが、まさに各国の海の現場における問題点と答えを一番熟知されているのはここにお集まりの海上保安機関の皆さんであります。
海の安全と平和を守るという誇り高い職責に日夜尽力されている皆さん。本会議が具体的な成果を生み出す有意義な会議になることを期待すると同時に、今こそ、組織や国境、分野を超えて共に連携し、海の未来の為に共に努力して参りましょう。ありがとうございました。