笹塚緑道公衆トイレ(デザイン:小林純子氏)が完成日本財団「THE TOKYO TOILET」プロジェクト

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小林純子氏がデザインした笹塚緑道公衆トイレ

日本財団は、誰もが快適に利用できる公共トイレを渋谷区内17カ所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」を実施しています。このたび、16カ所目となる笹塚緑道公衆トイレ(デザイン:小林純子、住所:渋谷区笹塚1-29)を設置しました。本トイレの一般利用は3月10日(金)より開始しています。

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笹塚緑道公衆トイレ外観(撮影:永禮賢)
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笹塚緑道公衆トイレ内観(撮影:永禮賢)

クリエイター 小林純子氏から

コメント

今回のTHE TOKYO TOILET のプロジェクトに参加した理由は、今回の企画が過去ずっと抱いていた課題に対する解決への挑戦があり、社会的にも大きな意味を持つと考えたからです。我国での初めての公共トイレは1879年横浜で現れた洋風な公衆トイレでした。その時は世の人を驚かせたようでしたが、それから約140年余を経て、公衆トイレの今は、利用者の無自覚ないたずらや汚損、それに追随しないメンテナンスの脆弱さの中で、4K(臭い、暗い、怖い、汚い)の代名詞になっています。女性にヒアリングすると、近寄りたくないとさえ言われるくらいです。私どもはこの37年間、250ヵ所以上の公共のトイレの設計に携わってきましたが、公衆トイレは一番難しく、かつ意味のあるトイレではないかと考えています。
今プロジェクトは、「公衆トイレは、市民みんなの財産であること」をもう1度考え直すきっかけを造ろうとされています。16人のデザイナーに、公共という意味の中で公衆トイレをデザインさせ、各設計者のビジュアルなメッセージから公衆トイレについて改めて考えてもらおうという試みです。こんな企画はわが国でも初めてです。これを機に様々な公衆トイレの議論ができることを期待します。

写真:小林純子氏

笹塚緑道公衆トイレコンセプト【まちあかりのトイレ】

高さの異なる円筒形のトイレに、黄色い楕円形の大庇を浮かし、外壁についた丸窓からはうさぎがのぞいています。敷地の特殊事情から軽量化が求められ、耐候性鋼板パネル構造にし、また、京王線高架下の閉鎖感をなくそうと大庇を浮かせて第2の空を造りました。耐候性鋼板パネルは、鉄板を一旦錆びさせているためいつまでも強度と風合いが保てます。まちの頑固おやじのように、存在感がありまちの人々を明るく見守ってくれると同時に、楽しさも感じるトイレにしたいと思いました。
開口部は広くとり、重厚ながらオープンで、中は明るく清潔感あふれ、安全性も感じるトイレにしました。

小林純子氏プロフィール

設計事務所ゴンドラ所長・一般社団法人日本トイレ協会会長
1967年日本女子大住居学科卒業、田中西野設計事務所等を経て、1989年設計事務所ゴンドラ設立。1989年四国坂出に5億円をかけた新観光名所の公衆トイレ、「チャームステーション」の設計に携わったことがきっかけで公共トイレの設計を中心に活動を始める。2014年東洋大学にて「公共トイレ改善の取り組みの評価と実現方策に関する研究」で工学博士号取得。大丸東京店・湘南ステーションビル(駅ビル)、成田空港第2ターミナル、小田急電鉄新宿西口、京阪電鉄淀屋橋トイレ、千代田区秋葉原有料公衆トイレ、学校のトイレなど、約250件の公共トイレ改善事業に携わる。